インドの超満員列車をテレビや雑誌で一度は見たことあるのではないでしょうか。
日本の満員電車とは比較にならないくらい、屋根に乗る人はもちろん、あらゆるところに足を掛けて列車にのる人々。
なぜこんなにもインドの列車は満員なのでしょうか。いったいどのくらいの人が乗車しているのでしょうか。
インドの満員列車についてご紹介します。
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インドの列車はなぜあんなにも満員なのか
インドで最大の都市であるムンバイではインド国鉄が近郊の鉄道網を敷いていて12両編成で各駅停車・急行列車などがありますが、日本の大都市圏と同じように通勤時間帯のラッシュ時には4~5分感覚で列車が行き交います。
人口が多いインドの大都市とあって片道1時間以上の電車通勤をする人々もたくさんいます。そのため本来の車両の定員では全く乗り切れません。結果として「乗れるだけ乗る」という状態になってしまっているのです。
鉄道会社もその状態を理解しているので、1人でも多く乗り込めるようにムンバイ近郊を走る電車はドアを開けたままで走行します。
戸口から身を乗り出すようにして乗っている乗客は当たり前!という状態。日本では到底考えられません。こんなことがあれば大問題になり鉄道会社が非難されてしまいます。
しかし、インドの感覚では「たとえ事故にあっても自分の責任」ということで許されているのです。
実際に毎日のように事故はあり、1日数人が命を落とすケースもありますが非常に人口が多く、物流量も多いこの地域では安全よりも多くの輸送を重視してしまっているのです。
常に満員のインドの列車、どのくらいの人が乗車しているのか
かつてイギリスの植民地であったインドでは、鉄道の歴史は日本より古く、綿花や紅茶を運ぶことを目的に1853年にはボンベイからターネーの約40kmの路線が開業していました。
インドを紹介するテレビ番組などで昔から紹介されている、人がはみ出しても走り続ける列車の姿は今でもおなじみの光景。
世界的にも人口が多い国であるインドの最大都市周辺には約2,300万人が暮らしており、都市の中心までは通勤・通学などで毎日600万人以上が列車を利用します。
朝夕のラッシュ時になると、その乗車率はなんと250%にもなるといいます。結果として窓から、出入り口からはみ出したり車両にぶら下がるようにして運ばれる人の姿が見られることになるのです。
毎日多くの事故が発生することから、鉄道当局も事故を防ぐ対策を講じてはいるものの目に見えて改善されるには至っていません。
その上、設備が老朽化したことによる事故や整備不良が原因の事故も多く、インドの超満員列車は、決しておもしろおかしいものではないのです
インドの満員列車に乗車する際の注意点
インドをバックパッカーとして貧乏旅行することになったら列車での移動が必要になるでしょう。日本とは大きく違うインドの列車旅。次のようなことは特に注意が必要です。
- 列車が来ない
数分の遅れもなく運行される日本の列車と違い、インドの列車では定刻などはあってないようなもの。切符も購入したのに目的の列車が来ない場合、まずは駅員に確認してみましょう。
でも忘れてはいけないのは、インドの列車は数時間単位で遅れることが珍しくないということです。 - ダブルブッキング?
指定席の切符のはずなのに行ってみたら誰かが座っている!鉄道会社の手違い?と、日本人は思いがちですがインドでは少々事情が違うようです。
経済的に切符が買えない人たちが勝手に乗り込むことも少なくないのインド列車では、自分の席に誰かがいても慌てずに避けてくれるよう伝えましょう。どうしても立たないようであれば駅員に伝えましょう。 - 手荷物への注意
トイレで席を立つときや就寝時は、盗難等のリスクが一番高いタイミング。寝る時は頑丈なワイヤーロックなどでしっかりと固定する必要があるでしょう。ただし、それでも絶対安全とはいえないのが実情です。
インドの列車と日本の列車の違い
安全性や防犯といったこと以外にもインドの列車では日本人が驚くようなことが日常茶飯事。
線路には立入禁止が当たり前な日本とは違い、人も牛も線路付近をウロウロしています。特に列車の本数が少ない地方では、よく見られる光景です。
日本の電車は車両数が少ない代わりに本数が多いのが特徴です。インドでは逆に1時間に1本程度の列車が数多くの車両を連ねて走るのです。
さらに驚くのは踏切を待ちきれない人が列車の車両に飛び乗って、反対側から出ていくということ。多くの車両が連結されているということは、踏切で列車の通過を待つ場合、随分長く待たなければいけません。
運転席からドアの開閉を管理する日本の電車と違い、中から誰かが開けてくれさえすれば飛び乗ることもできるのがインドの列車。速度が遅ければ、一度列車に飛び乗りって、すぐに反対側のドアから出ていくという驚きの方法で踏切を渡るのです。
日本では到底できないこんなこともインドでは当たり前。こういった体験ができるのもインドならではでしょう。
ただし、慣れていない旅行者が挑戦するのは危険過ぎるので止めておきましょうね。
インドの列車で長距離移動する際の食事事情
インドでは飛行機はチケットが高く、道路は整備状況が悪いため鉄道網が発達しました。実に世界第4位の路線網を持っている鉄道大国なのです。
鉄道での長距離移動、寝台列車の利用となれば必要になるのが食事です。一般的な列車では日本でよく見られる食堂車は非常に数が少ないため、駅の売店などで弁当を買うか自宅で作った物を持ち込むことになります。
デリー・ボンベイ・カルカッタなどの大都市間の列車や観光列車には、食事ができる車両が備え付けられています。
特急扱いとなるラージターニ急行などになると、食堂車はありませんが厨房付きのパントリーカーがあるので車内で食事を取ることができます。
ちなみに大きな駅ではメインフォームに食堂があるとのこと。先払いのセルフサービスでチップを上げる必要はありません。
異世界のような列車旅、経験したら人生感が変わるかも?
所変わればという言葉通り、インドと日本の列車事情の違いには改めて驚かされますね。
全てがきちんと管理され時間どおりに発車・到着することが当然の日本人にとっては、数時間や半日も電車が遅延するなんで考えられませんよね。
でも、みんなそれが当たり前だと思っているから大きなトラブルにはならないのでしょう。考え方によっては少し羨ましくもあります。
ただし、こぼれ落ちそうなほど人がぶら下がる列車に乗りたいとは思うかどうかは人それぞれでしょうけれど。
安全性や治安の面では充分に注意する必要はありますが、昔から「インドに行くと人生観が変わる」と言われ、不思議な魅力と生命力にあふれる国・インド。
人生のうち、一度は訪れてみても面白いかもしれませんよ。